人生で最も高い買い物といわれるマイホームの購入。
最初に購入した物件が一生の住まいになる可能性もあるので、家族と話し合いながら慎重に考えるようにしましょう。
また、マイホームは賃貸物件と違い、購入後すぐに入居できるわけではなく、いくつかの手順を経る必要があります。
そのため、具体的な流れや必要資金、入居可能な期間の目安を把握しておくことが大切です。
そこで本記事ではマンション購入経験のある私が、マイホーム購入の流れや購入前後で知っておくべきポイントについて解説します。
マイホーム購入の流れ
マイホームを購入する場合の基本的な流れを7つのステップに分けて解説します。
STEP1:事前準備
購入の流れに移る前に、まずはどのような物件に住みたいのか、イメージを固める必要があります。
特に以下のポイントは必ず押さえるようにしてください。
立地条件
物件の種類(戸建て、マンションなど)
予算
住み替えのタイミング
ただし、必ず条件にぴったり一致する理想の家が見つかるとは限りませんので、優先順位や妥協できるポイントを考えておくことも必要です。
例えば駅からの距離は遠くても良い、日当たりは多少悪くても良いなど、理想と違っていても納得できる点をいくつか決めておきましょう。
STEP2:物件探し
物件を探す際は、まず不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)を閲覧して大体の目星をつけてみましょう。
エリア、間取り、費用など大まかな希望条件で検索した後、徐々に条件を細かくし、イメージを固めるようにしてください。
その後、気になる物件が見つかれば、実際に物件を販売する不動産会社に問い合わせを行います。
最初は電話やメールで問い合わせを行い、興味がわけば実際に会社を訪問するなどして、詳しい情報を教えてもらうように紹しましょう。
STEP3:内覧の実施
興味のある物件が見つかり、不動産会社へ連絡した後、物件の内覧を行います。
内覧をしないまま購入を決める方もいますが、自分の目で物件を見ることは非常に大切なので、新築物件など未着工の場合を除き、必ず行うようにしましょう。
なお、中古物件の場合は実際の住宅を見学しますが、新築の場合はモデルハウスやモデルルームへ案内されることもあります。
STEP4:購入申込み
物件の購入が決まった後、正式に購入申込みを行います。
物件によっては、申込みの段階で「申込証拠金」として2~10万円程度費用が必要な場合があるので、事前に確認しておきましょう。
また、購入申込みと同時に住宅ローンの事前審査を受けるのが一般的です。
事前審査の後に本審査が行われますが、基本的に事前審査をクリアできれば、本審査も通るようになっています、
住宅ローンの事前審査に通らなければ契約に進めないので、無理のない資金計画で臨むようにしましょう。
STEP5:売買契約締結
購入申込みが終わった後、いよいよ売買契約締結に移ります。
契約締結の際には不動産会社から重要事項説明を受けますが、しっかりと内容を理解して不明点があれば質問するようにしてください。
また、契約締結時に手付金を支払う必要があります。手付金とは不動産に関する契約をするときに支払う費用であり、基本的に契約当日に現金払いです。
手付金の相場は、大体物件価格の5〜10%になりますが、前もって不動産会社へ確認して準備するようにしましょう。
STEP6:住宅ローン契約の締結
売買契約が成立した後、住宅ローンの申込みを正式に行いましょう。
事前審査は物件購入前で完了しているため、本審査を経て承認されれば、金融機関と正式なローン契約(金銭消費貸借契約)を結ぶことになります。
STEP7:引き渡し・入居
その後、金融機関との間で住宅ローンを組み、引き渡し・入居に移ります。
引き渡しの段階では、家の鍵を受け取るほか、司法書士によって不動産の所有権移転(新築の建物は所有権保存)登記が行われます。
物件探しを始めてから引き渡しを受けるまでの期間は、大体1~3ヶ月程度が目安となっています。
マイホーム購入前に知っておくべきポイント
マイホームは高額な買い物になるので、失敗することがないように慎重に検討する必要があります。
以下に購入する前に知っておくべきポイントを3つ紹介します。
立地の選び方
立地はマイホーム購入で最も重要なポイントといえます。
住むエリアの選択は、その後の生活に大きな影響を与えるので、真剣に考えなければなりません。
立地を選ぶ際は、いくつかある条件の中で、何を優先すべきかを事前に決めるようにしましょう。
例えば駅や職場への距離、周辺環境、治安、自然災害リスクなどがあげられます。
自分一人ではなく、家族と話し合ったり、不動産会社からアドバイスを受けたりしながら検討することをおすすめします。
住宅ローンの種類
マイホームを購入する際は、ほとんどの方は住宅ローンを利用します。
住宅ローンには大きく分けて、固定金利型と変動金利型の2種類があります。
固定金利は金利が変動しませんが、当初の金利が高めであり、一方、変動金利は金利変動のリスクがありますが、低金利で契約することが可能です。
現在の日本では住宅ローン金利水準が低く、多くの方が変動金利を選択している状況です。
実際、住宅金融支援機構が行った「住宅ローン利用者調査(2022年4月調査)」によると、住宅ローン利用者が利用した金利タイプは、変動金利型が73.9%、固定期間選択型が17.3%、全期間固定型が8.9%と、変動金利型が突出して高いことが分かります。
ただし、どのタイプが良いかは人によって異なるため、自分の収支状況やライフプランに合わせ、適切なものを選ぶようにしましょう。
マイホーム購入に必要な資金
不動産を購入する場合、物件価格以外にも多くの諸費用がかかります。
主な種類を以下にまとめます。
- 不動産取得税
- 登録免除税
- 印紙税
- 仲介手数料
- 固定資産税精算金(および都市計画税精算金)
- 火災保険料
- 住宅ローン契約の事務手数料
特に住宅ローン契約の事務手数料に注意しましょう。金融機関によって異なりますが、場合によっては数十万円以上の費用になることがあります。
諸経費全体でおおよそ物件価格の5~15%程度の費用がかかると見込んでおくようにしましょう。
マイホーム購入後に知っておくべきポイント
続いてマイホームを購入した後、知っておくべきポイントを解説します。
住宅ローン控除の申告手続き
住宅ローンを組んで物件を購入した場合、一定の条件を満たせば住宅ローン控除の適用が可能です。
住宅ローン控除は年末時点での住宅ローン残高の0.7%が、入居時から最長13年間にわたり、所得税や住民税から控除される制度のことです。
ただし、住宅ローン控除を受けるには、購入した物件に住み始めた翌年の1月1日から3月15日までに、確定申告によって申請しなけければなりません。
会社員の方も1年目は確定申告が必要です。
なお、2年目以降は会社員の場合、年末調整によって処理できるので、複雑な手続きは不要になります。
一方、フリーランスや自営業の個人事業主の場合、引き続き確定申告で手続きをする必要があるので、不備などがないように注意しましょう。
メンテナンスや修繕計画
マイホームを購入すると、賃貸住宅の場合と異なり、家の設備や内外装のメンテナンスは基本的に自分で行わなければなりません。
マンションの場合は管理費、修繕費の支払いがあり、管理組合が主体となってメンテナンスを行いますが、戸建ての場合はすべて自分で決めて行う必要があります。
例えば屋根や外壁などの塗装や修繕、給排水管の交換、エアコンや給湯器、換気扇など室内設備の定期的なメンテナンスも時期を決めて実施するのが基本です。
新築や築浅物件であれば、購入当初から大きな費用がかかることはありませんが、10年後、20年後のことも考えて、自分なりに修繕計画を経て、費用を積み立てていくことが大切です。
リフォームやリノベーションの方法
中古住宅の場合、快適な空間にするためにリフォームやリノベーションを行う前提で購入する方もいるでしょう。
最近は工事の技術が進化しており、築古物件であっても新築のような真新しい設備を導入したり、おしゃればデザインに刷新したりすることが可能となっています。
しかし、リフォームやリノベーションは工事内容によって費用や工期が大きく異なります。
また、物件の構造や土地の性質など様々な要素によって、できる工事とできない工事があるため、購入前に実際にイメージ通りの工事ができるかどうか、確認することをおすすめします。
まとめ
マイホームの購入は賃貸物件に入居するときと異なり、購入を決めてから実際に入居するまで、多くの手順を踏まなければなりません。
また、購入前だけでなく、購入後に必要な手続きや注意点もありますので、事前に基礎知識をつけておくようにしましょう。
マイホームは賃貸物件と違い、自分の資産になるうえ、自分だけの理想の空間を作ることも可能です。
将来マイホームを購入したいと考えている方は、ぜひ理想に住まいを見つけられるように、物件のイメージを固めておくことをおすすめします。