宅建はどのくらい難しい?過去データをもとに解説

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宅建試験の合格率は15%前後で推移しています。

しかし、この数字だけ見ても、どれくらい難しいのか、判断はできないでしょう。

他の国家資格と比較して難易度を把握しておくことも重要です。

そこで今回は宅建試験の難易度を詳しく解説します。

目次

過去データから見る宅建の難易度

宅建試験の難易度はどの程度なのか、まずは過去のデータから考えてみましょう。

近年の合格率はどれくらい?

合格率の推移を見ていきます。
以下は直近5年間の宅建試験の合格率です。

・2016年 15.4%
・2017年 15.6%
・2018年 15.6%
・2019年 17.0%
・2020年(10月実施分) 17.6%
・2020年(12月実施分) 13.1%
・2021年(10月実施分) 17.9%
・2021年(12月実施分) 15.6%
・2022年 17.0%

このようにほとんど15%前後の合格率で推移しています。

宅建試験は絶対評価ではなく相対評価で決まるので、毎年15%前後になるように調整されているためです。

そのため、合格点は決まってなく、毎年変動していますが、ここ数年では7割~8割の正答率が合格の目安になっています。

男女別や年齢別の違いはあるのか?

男女別や年齢別に違いがあるのでしょうか。
以下に直近5年間の推移をまとめます。

【男女別の合格率推移】

実施年度女性の合格率男性の合格率合格平均年齢
2016年(平成28年)17.0%14.7%35.3歳
2017年(平成29年)16.8%15.1%35.3歳
2018年(平成30年)16.8% 15.0%34.9歳
2019年(令和元年)18.5%16.3%35.4歳
2020年(令和2年)10月19.5%16.7%34.7歳
2020年(令和2年)12月14.7%12.3%34.7歳
2021年(令和3年)10月・12月18.9%17.0%35.0歳
2022年(令和4年)17.9%16.6%36.5歳

引用元:不動産適正取引推進機構『RETIO』

男女別のデータを見ると、ここ5年間では、女性の合格率が高くなっています。
また、合格平均年齢は毎年35歳前後で推移しています。

年代別の細かいデータを見ると、20~30代はおおよそ25~40%の高い合格率を維持していますが、40代になると20%程度に落ち、50代以上になると10%を切るほどになります。

20代をピークにして、年齢が上がるほど合格率が低下している状況が続いています。

合格基準点の推移

宅建の合格基準点は年によって変動します。
過去5年間の推移を以下にまとめます。

・2016年 35点
・2017年 35点
・2018年 37点
・2019年 35点
・2020年(10月実施分) 38点
・2020年(12月実施分) 36点
・2021年(10月実施分) 34点
・2021年(12月実施分) 34点
・2022年 36点

おおむね35~38点で推移しています。
宅建の合格率は15%前後になるように調整されていますが、合格基準点も例年の範囲を大きく超えないように問題の難易度を調整しています。

ただし、合格基準点が35点を超えるのが常態化したのは、ここ5年間の新しい傾向といえるでしょう。

2015年以前の合格基準点は、ほとんど30~35点の範囲で収まっていました。(稀に36点の年もありました)

しかし、試験問題は決して易しくなったわけではありません。
10年前の試験問題と、ここ5年間の試験問題を比較すると明らかですが、問題はむしろ難化しています。

問題が難化したにもかかわらず、合格基準点が上がっている状況から、最近の受験生のレベルが向上していることが考えられます。
特に2020年は新型コロナの影響でテレワークや在宅外出が普及し、自宅で学習する時間を増やせた人が多かったようです。

また、インターネットによる通信講座の受講や、スマホアプリを活用した学習方法など、以前より勉強の環境が整ったことも影響しているのではないでしょうか。

今後はさらに試験が難化していくことも考えられるため、過去の合格基準点にとらわれず、満点をいの意気込みで学習することをおすすめします。

実は試験欠席者も多い?

宅建試験は受験資格がないので、年齢・性別・学歴・国籍を問わず、基本的に誰でも受験可能です。

そのため、中にはそもそも合格する気がなく、お試しで受験してみようという人や、会社からの指示で強制的に受ける人も少なくありません。

申し込みだけして、試験を欠席する人が毎年5万人程度います。

欠席者は不合格者にカウントされないため、合格率に影響を与えるわけではありませんが、本気で受けるつもりのない人が数多くいることが理解できます。

合格率15%というと難関資格のイメージがありますが、こうした状況も加味すると、真面目に勉強すれば十分合格可能な資格試験であることがわかるでしょう。

宅建と他の資格の難易度の比較

他の国家資格と比較した場合、宅建の難易度はどの程度の位置づけになるのか、重荷不動産や法律に関わる資格と比較してみましょう。

行政書士

行政書士は、行政手続きを専門とする法律のプロで、市民と官公署をつなぐ役割を担っています。

書類作成業務や官公署への書類提出手続き代理業務、契約書代理作成業務などを行え、独立・開業も可能な国家資格です。

扱える書類は数千種類もあり、業務範囲が非常に広いのが特徴です。

法律を扱う仕事という意味では、弁護士や司法書士と似ていますが、より市民が気軽に相談しやすい「まちの法律家」という立場で働きます。

行政書士の試験は毎年11月に実施され、合格率は毎年8~15%前後で推移しています。

合格率10%を切る試験というのは、かなり難しいというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

行政書士は試験範囲が広いうえ、暗記だけで乗り切れる問題は少なく、民法や行政法に関する深い理解が必要なため、一般的に宅建士より難易度が高いといわれています。

また、合否は宅建士と違い「絶対評価」で決まります。

300点満点中180点以上が合格点ですが、科目ごとに基準点が設定されており、一つの科目で基準点未満となった場合、全体で180点以上の得点が取れても不合格となってしまいます。

そのため、苦手科目を作らないようにバランスよく勉強することが、合格するための対策になります。

司法書士

司法書士は、司法書士法に基づく国家資格で、有資格者だけが業務をすることが許されている専門職です。

不動産の登記申請や相続に関する相談など、一般の人にも身近な問題を扱うため「くらしの法律家」と呼ばれることもあります。

司法書士試験には、筆記試験と口述試験があります。

筆記試験の試験科目は、民法・商法(会社法)・商業登記法・不動産登記法の主要4科目を含めた11科目となっています。

司法書士試験の合格率は例年4%前後で推移しています。

国家資格の中でも最高レベルに取得が難しい資格で、宅建士よりもずっと難易度が高いと考えるべきでしょう。

一般的に合格に必要となる勉強時間は、宅建試験が300~400時間であるのに対し、司法書士試験は3000時間以上の勉強が必要と言われています。

数ヶ月~1年未満の勉強では合格することは難しく、複数年かけることを見越して、計画的に勉強する必要あるでしょう。

マンション管理士

マンション管理組合のコンサルタントに必要とされる専門知識を有していることを証明する資格です。

この資格を所持していると、マンションの管理者や区分所有者に対し、維持管理や大規模修繕工事などに関するコンサルティング業務が行えます。

不動産オーナーやマンション管理組合に対して、修繕工事などの話をする際などに説得力のある説明ができるため、不動産管理の仕事を目指す場合、取得しておきたい資格です。

マンション管理士試験は、受験するための条件は特にありませんが、合格率は毎年8~9%で推移しており、試験範囲も広く、宅建試験よりも難関です。

宅建取得後の、次のステップとしておすすめですが、難易度はかなりアップするものと考えておいたほうが良いでしょう。

管理業務主任者

管理業務主任者もマンション管理に関わる資格です。

マンションの委託契約に関する重要事項説明や管理の報告を行える、専門知識を有していることが証明できます。

マンション管理会社は、事務所ごとに一定数の管理業務主任者を設置する義務があります。

宅地建物取引士が不動産売買、仲介で必須となるのに対し、管理業務主任者は不動産管理の仕事で重要視されます。

管理業務主任者の合格率は15%前後で、受験者数は宅建資格より少ないですが、難易度は同程度と考えて良いでしょう。

試験内容も宅建と重なる部分があるので、次に取得を目指す資格としておすすめです。

まとめ

以上、宅建資格の難易度に関して解説してきました。

資格の難易度を調べる場合、合格率ばかりに目が行きがちですが、受験者数や近年の傾向、他の資格との比較も大事なポイントです。

また、性別・年齢によって合格率が異なることもわかっています。

特に年代ごとの合格率は毎年大きく異なりますので、受験する前に自分の年代の合格率をチェックすることをおすすめします。

試験の難易度を把握することは、試験対策にも繋がりますので、ぜひ正確な数値を確認しておきましょう。

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