今回は宅建試験で最も難しい科目と言われることも多い「権利関係」の解説をします。
「宅建業法はわかりやすかったが、権利関係の勉強を始めたら急に難易度が上がって驚いた」
「範囲が広くて、どこから手をつければいいのかわからない。問題の優先順位を知りたいなぁ」
権利関係に手をつけたばかりの人は、きっとそんな感想を抱くでしょう。
確かに権利関係は暗記だけでは対応できない問題が多く、応用力を求められるため、苦戦を強いられる科目です。
ただし、難易度が高い分、全体の得点率も低いため、ここで点数を稼ぐことができれば、一気に合格が近づくでしょう。
また、問題の対象となる範囲が広いので、確実に出題されそうな点はどこか理解して、優先順位をつけて学習することが大切です。
本記事で権利関係の出題傾向や勉強のポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
権利関係とは?
権利関係は民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法など、さまざまな法律に関する知識を問う科目です。
特にメインとなるのは民法です。
民法とは身近な生活に関わる契約のルールを定めた法律のことで、1000条以上にも渡る非常に範囲の広い法律です。
宅建試験においては、民法のすべてが試験範囲となるのでなく、代理、請負、債権・債務、抵当権など、宅建業に関係のある内容のみ出題されます。
こうした法律の知識を元にした事例問題が多く出題されますので、知識を活用して「このケースであればこうなる」という論理を組み立てていく問題が多いです。
権利関係の攻略法
では、権利関係の具体的な攻略法を解説します。
難易度が高い科目なので、満点を狙う必要はありませんが、きちんと対策しておけば簡単に解答できる問題も出題されます。
難しいからといって決して捨て科目にはしないようにしましょう。
権利関係の問題数と目指すべき得点
権利関係の出題数は14問です。
宅建業法に比較するとやや少ないですが、全科目の中で2番目に出題数の多い科目であり、宅建業法の問題と合わせると、全体の7割近いボリュームになります。
つまり権利関係と宅建業法で試験問題の大部分を占めていると言っても過言ではないでしょう。
宅建試験の合格を目指す場合、権利関係の問題14問中、7~9問程度の正解を目標としましょう。
暗記しているだけでは通用しない問題が多く、細かい知識を問われる問題も出ますので、全問正解は非常に難しく、7割程度の正答率でも十分です。
もちろん、全科目がこのレベルでは合格点ギリギリになってしまうので、他の科目で点数を稼ぐことを前提に考えるようにしてください。
権利関係の問題の傾向
権利関係は民法に関する問題が多いので、民法をメインに勉強することが大切です。
しかし、民法の範囲は非常に広いため、すべての範囲に手を出すと、膨大な時間がかかってしまいます。
あくまで宅建試験に関係する分野だけを優先的に勉強するように意識しましょう。
以下が民法で主に問われる内容です。
- 制限行為能力者
- 意思表示
- 代理
- 時効
- 不動産物権変動
- 抵当権
- 債務不履行と解除
- 賃貸借
- 相続
宅建試験用のテキストでは、これらの内容を中心にしていますが、民法専用のテキストなどでは、他の分野についても触れられているので、覚えるべき箇所とそうでない箇所の見極めが大切です。
また民法以外の分野として、以下の法律に関する知識を問われます。
借地借家法:地主と借地人の権利や義務を定めた法律
区分所有法:主にマンションの居住関係に関するルールを定めた法律
不動産登記法:不動産の登記制度に関するルールを定めた法律
点数配分としては全14問のうち、民法が10問あり、残り4問が借地借家法、区分所有法、不動産登記法から出題されます。
権利関係のおすすめの勉強方法
権利関係を勉強する際は、以下の方法をおすすめします。
- 過去問で対策する
- 目的や理由を意識しながら問題を解く
- 図を書いて整理する
- 補助テキストを利用する
権利関係は過去問と同様の問題が出題されにくい傾向がありますが、考え方を理解するうえで、やはり過去問による対策は有効です。
ただし、丸暗記はNGです。必ず問題の趣旨を理解するようにしてください。
個人的には、一問ごとに関係図を書いて整理することが非常に大切と感じています。
権利関係では、一問あたりの文章が長く、注意深く問題を読まないと、何を問われているのかがわからないケースがあります。
特にA、B、Cなど人物が複数出てくる問題では、誰が何をしたのかを頭の中にイメージする必要がありますが、頭の中だけで整理できないこともあるでしょう。
そんな時は、答案用紙の余白などに関係図を書く方法がおすすめです。
図を書いておけば、後で見直しをする際にもわかりやすいので、限られた時間の中で行うためには効果的です。
また、メインテキストとは別に民法専用の補助テクストを利用することもおすすめです。
複数のテキストを利用すると、テキストによって考え方や教え方が違ったりするため、混乱してしまう可能性がありますが、民法に関しては宅建試験用のテキストのみで勉強すると、内容がやや薄くなって場合があります。
特に「民法がわかった」は、初心者の方でも非常にわかりやすいので、権利関係の対策用テキストとしておすすめです。
ただし、本テキストには宅建試験の関係のない分野も含まれていますので、あくまで試験に合格することが目的の場合、あまり深入りしないように注意しましょう。
なお、その他の科目の攻略法や目指すべき得点も解説していますので、ぜひご参照ください。
まとめ
以上、権利関係の攻略法を解説してきました。
宅建試験の科目の中では最も難易度が高く、多くの方が苦戦する科目ですが、逆にここで高得点が取れれば、合格が一気に近づくでしょう。
非常に難解な問題も出るため、満点を狙う必要はありませんが、考え方をしっかり理解していれば確実に得点できる問題も出題されます。
また、権利関係の知識は実務においても役立つものが多いので、不動産業界で働きたいと考えている方は、特に理解を深めておくことをおすすめします。
もし効率的な学習をして、最短で合格したいと考える方には、通信講座の利用がおすすめです。
以下の記事では、忙しい社会人向けの通信講座を紹介していますので、ぜひご参照ください。